田中康夫知事になって初めての県議選(定数58)は4日告示され、13日に投開票を行う。先月末に立候補届出書類の事前審査があり、30選挙区に117陣営が出席した。飯田市区(定数3)は現職1人と新人4人、下伊那郡区(定数2)は現職2人と新人2人のいずれも激戦が予想される。今回の選挙の特徴と意義、焦点などをまとめた。
飯田市区
前回4年前の県議選は、4期16年の吉村前知事のもと、共産党を除くオール与党体制の中で行われ、飯田市区は県会最大会派の県政会に所属していた古田芙士、塩沢昭、今井勝幸の現職3氏が議席を占めた。前知事が引退した平成12年の知事選で田中知事が前知事の後継者を破って登場すると、県会は打って変わって共産党を除くオール野党体制と化し、脱ダム宣言に象徴される新しい施策や県政運営の手法などをめぐって田中知事と激しく対立。昨年7月5日には全国でも初の知事不信任決議までエスカレートした。
不信任決議を受け失職の道を選択した田中知事は、9月1日投開票の出直し知事選で県会の大方の会派や県議が支援した対立候補の長谷川敬子氏にダブルスコアの大差をつけて圧勝、返り咲きを果たした。不信任決議に賛成した県議たちは、議会の解散・選挙という目論見が外れるとともに、田中知事の圧勝を受けて県政派会は解散、再編が行われた。
こうした流れの中で行われる今回の県議選は、田中知事に不信任決議を突きつけた県議会を県民がどう評価し、どのような審判を下すかが最大の焦点となる。知事と県議会は車の両輪として機能しなければ県政改革の実を上げることが期待できないばかりか、県政は停滞し対立だけが続くことになりかねない。その意味で、出直し知事選で示された県政改革への期待がどの程度のものなのか有権者の意識が再度問われる選挙ともいえる。
飯田市区は、不信任決議に賛成した現職3人のうち、副議長の塩沢昭氏が引退を表明、出馬を予定していた今井勝幸氏は不慮の事故で出馬を断念する事態となり、古田芙士氏のみが出馬、5選を目指す。新人では、不信任決議に反対した共産党の村松直美氏と、知事の支援者らでつくる「しなやか長野県をはぐくむ会」飯伊支部長の吉川明博氏に対し、出直し知事選で長谷川氏を支援したいずれも前市議の小池清氏と小林利一氏が出馬する図式となっている。
下伊那郡区
下伊那郡区は、定数2に対して現職が6選を目指す森田恒雄氏、2期目に挑戦する佐藤友昭氏の2人。新人は共産党の木下征義氏と、無所属で女性の熊谷美沙子氏の2人で、4人が立候補する見通しだ。
このうち、佐藤氏と木下氏の2人に限っては昨年9月の補欠選挙以来、僅か7カ月後の戦いとなった。今回の選挙で最大の争点といえば、県政を執行する側の知事に対して、これをチェックする立場の「議会のあり方」を問う、いわゆる「チェック・アンド・バランス」という本来の姿が試される。
また、長びく不況に伴い県財政がひっ迫する中で、景気回復と雇用確保は待ったなし。特にインフラ整備が遅れている飯伊地方では、公共事業など建設関連に携わる人の割合も高く、各候補者がこの「二律背反」の政策をどう訴えるのか、興味深い。
下伊那郡区の見所(焦点)といえば、現職2人に対して知事を支援する立場の新人が2人立候補する見通しで、その戦いぶりが注目される。個人的には6選を目指す森田氏は、これまでの実績をどう有権者が評価するのか。今回は逆風といわれる中で、組織(後援会)の力量が問われる戦いになりそうだ。
2期目に挑戦する佐藤氏は、今回は新たに自前の組織づくりを進めており、昨年の補選で獲得した2万4000票余をどう確保するのか。7カ月後の選挙となった今回は、今後の政治生命を占う意味でも重要な戦いになりそう。
木下氏も今回が2回目の戦いで、前回の補選では共産党の固定票を3倍増させた実績がある。しかし、今回は追い風が吹いているとはいえ、女性の知事支援候補が出る見通しの中で、どんな戦いを見せるのか。また「普通の主婦が県政に参画できる環境をつくりたい」という熊谷氏は、有力な知事支援者のひとり。昨年の出直し知事選に見られたような「旋風」を再び起こしたい所で、知名度不足をどう克服し、これを広い下伊那17町村にどう浸透させるのか、見所は多い。
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