統一地方選前半の県議選(定数58)は13日、無投票の佐久市(同2)を除く29選挙区で投票が行われ、即日開票の結果、56議席が決まった。3議席を5人で争った飯田市区は、唯一の現職古田芙士氏が逆風にもかかわらず、1万4400票を獲得、トップ当選で5選を飾った。残り2議席は、いずれも保守系新人で前市議の小林利一、小池清の両氏が1万1000票台で初当選を果たした。また、2議席を4人で争った下伊那郡区は、現職の森田恒雄氏が1万5000票を獲得、トップ当選で6選を飾った。昨年の補選で初当選した佐藤友昭氏が約800票差で2選を果たした。両区とも「知事支持」を訴えた新人が全員落選した。
飯田市区
田中知事になって初の県議選は、昨年の知事不信任決議と出直し知事選を経て、県政改革に対する県議の姿勢、知事との距離、長引く不況の中での景気・雇用対策などが焦点になった。知事に不信任を突きつけた現職に対し、知事支持を訴える新人が挑戦する選挙区が相次ぐなか、飯田市区は現職の塩沢昭氏が引退したものの、4選を目指し出馬を表明していた今井勝幸氏を含め、一時は保守系の候補予定者が4人とかつてない大激戦が予想されたが、今井氏が思わぬけがでリタイア。前回と同じ5人が立候補し、最後まで気の抜けぬ混戦とはなったものの、全般的に有権者の関心は低く盛り上がりに欠ける選挙だった。
こうした中で、不信任決議に賛成した唯一の現職古田氏は、前回票を100票余り減らしたものの、現職の強みを発揮し、貫禄を示した。投票率が10%以上低下した中では、相当の上積みと言える。組織の引き締めと塩沢票、今井票の取り込みが奏効した。
2位争いは、前市議の小林氏が約400票の差で制したものの、投票率の低下もあり、思惑通りには票が伸びなかった。市議会最大会派みらいの支援、連合飯田地協の推薦に加え、同じ丘の上を地盤とする今井氏の不出馬という追い風の中で、なかなか組織が引き締まらず、苦戦したあとがうかがえる。
小池氏は「塩沢氏の後継者」を標榜。地元下久堅を中心とする竜東地区の盛り上がりと、宮下創平代議士の後援会の協力、公明票も得て3位に食い込んだ。候補の若さと将来性をうまくアピールし、組織に勢いが日増しについてきたことがうかがわれた。
「知事支持」を訴えた日本共産党の村松直美氏は前回票に約400票上乗せした。投票率が大幅に低下した中で、この得票結果は善戦と評価できるが、悲願の初議席獲得はならなかった。また、知事の支援を受けた吉川明博氏は6000票を超えたが、当選には及ばなかった。
下伊那郡区
現職2人と新人2人の対決となった下伊那郡区は、森田氏が後援会の底力を発揮、前回票を維持し、1万5000票余りを獲得して初のトップ当選を果たした。
昨年の補選に続いて2回目の戦いとなった佐藤氏。今回は自前の組織づくりに励み、女性や若い層へも積極的浸透、自民党籍への反発を最小限に抑え、1万4000票余で2位当選を飾った。補選に比べ1万票以上減らしたものの、見事に再選を果たした。
田中知事支援と「唯一の女性候補」を売り物に善戦した熊谷氏。出遅れた上に知名度不足を解消するまでに至らず、届かなかった。
また、昨年の補選で獲得した1万5000票余をもとに、2度目の挑戦となった木下氏。補選の勢いをそのまま持ち込みたかったが、追い風は吹かず及ばなかった。
今回の投票率は74.08%で、前回に比べ約5%も低下、一見盛り上がったように見えた選挙だったが、実際には有権者の関心は比較的冷めていたことを伺わせている。
今回初めてトップ当選を飾った森田氏は、多選批判などが強く、当初から後援会が危機感を持って戦いの臨んだことが結果的には、大きな成果となった。支持者の高齢化もあり、同士のうちでも「前回票を維持することは相当に難しい」といわれた。が、生き残りへ危機意識を持って戦うことの大切さを、身にしみて感じたことだろう。
一方、再選を果たしたものの、前回の補選で獲得した2万5000票余を、今回1万票減らし、2位に甘んじた佐藤氏。補選は参考に過ぎないとはいっても、自民が社民に1位の座を譲ったことは今回が「歴史的な選挙」として後世に残ることになろう。
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