2004年5月13日 >>>戻る

長沼カメラマンに聞く
映画「隠し剣 鬼の爪」



 大平宿で撮影が行われている、山田洋次監督の期待作「隠し剣 鬼の爪」。飯田市上久堅出身の長沼六男カメラマン(59)に、大平撮影の感想を聞いた。【聞き手・篠田あづみ】

 ―大平撮影はどうだったか。

 「いい映画が撮れている。山田さんも満足しているのでは」

 ―大平の魅力は。

 「人里離れた江戸時代の雰囲気を残す民家。道や、荒れた感じなど、まさしく探していたイメージどおり。日本中探してもなかなかなく、同業者も驚く映画が撮れている」

 ―雨も降って、撮影は難航したのでは。

 「天候は計算どおり。晴れと曇り、両方撮ったが、昼間の雨は逆光を当てたりしないと写らず、霧の立ち込める不気味な雰囲気が撮れた」

 ―桜が咲いていて、決闘のシーンに差し支えなかったか。

 「気にはならなかった。大蔵屋の庭に咲いていたカスミソウみたいな白い花などは逆に利用した」

 ―なぜ大平宿を選んだのか。

 「探していた風景がたまたま大平だった。映画本位で考えているから、『大平で』という思い入れがあったわけではない。でも、ここならうまくいくと思った」

 ―板を張るなど、家屋にだいぶ手を入れているようだが。

 「撮りたかったのは庄内の山中。しっくいの壁や2階のせり出しなど、いかにも信州のたたずまいだったので、美術監督と相談して手を加えた」

 ―では、雰囲気は庄内になっていると。

 「本当に山形の奥地にあるかもしれないと思わせる。人質をとって立て込んでいる恐い感じが出ている。説得力のある場所」

 ―撮影の前に下見に来ていたか。

 「山田監督と一緒に12月の暮れに来たが、50センチもの大雪。除雪車の後をついて行った」

 ―では、イメージがだいぶ違ったのでは。

 「すべて雪で心配はした。けれどうまくいったからよかった」

 ―囲炉裏の煙に巻かれて思うことは。

 「自分の実家にも囲炉裏があって、思い出すことはあった。独特のにおいがあるね」

 ―地元の人たちに何かメッセージを。

 「自分に合っている道かどうかなんてわからない。やりたいことをやりつづけて、上久堅という映画とまったく縁がない場所で生まれた自分がカメラマンになっている。映画を楽しんで見てほしい」

◇  ◇

 長沼六男さんは1945年飯田市上久堅生まれ。飯田工業高校の1期生を卒業し、68年に松竹撮影所入社。“山田組”のカメラマンとして歩みだしたのは93年。「たそがれ清兵衛」では、日本アカデミー賞最優秀撮影賞に輝いた。

 撮影では山田監督とぴったり寄り添い、監督の見ている風景をカメラを通して再現する。カメラアングルを決める際、同時に「はい、ここ!」と声を上げたという名コンビぶりを披露するエピソードも。

 「隠し剣 鬼の爪」の大平撮影は、天候に合わせて12日頃まで。今後は京都、姫路城、彦根城での撮影を経て7月下旬に完成予定。公開は今秋となる。


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製作・著作:南信州新聞社/南信州サイバーニュース