2004年8月3日 >>>戻る
ハチ刺されの緊急措置、普及へ
 ハチ刺されによるアナフィラキシー症状(生命にかかわるアレルギー反応)が発現した際の補助治療を目的とした自己注射製剤「エピペン」の処方説明会が1日、飯田女子短期大学保健養護棟で開かれ、医師や保健師、薬剤師ら医療・保健関係者と、ハチとの遭遇率が高い林業関係者ら約60人が出席した。日本では最大規模の説明会で、新たに8人が登録医として名を連ね、事実上の先進地として、地域を挙げて取り組む気運を高めた。

 エピペンは、ハチ毒が体内に入ってから15分以内にあらわれる呼吸困難・血圧低下・意識障害などのアナフィラキシー症状を緊急治療する「エピネフリン」があらかじめ充てんされている製剤。ペンタイプの簡易注射器を太ももの筋肉にワンタッチで自己注射することで、約30分間にわたってショックを抑えることができる。

 あくまで補助治療を目的としている製剤のため、使用後は速やかな医療機関での受診が必要となるが、統計によると30分以内にエピネフリンを投与した患者の死亡率は大幅に減少しており、医療機関に到着するまでの緊急措置としての有効性が立証されている。

 講師を務めたのは、昨年、飯伊ではじめて登録医となったすきがら医院(飯田市鈴加町)の建石徹院長。エピペンを使用するには医師の処方が必要となるが、飯伊では7月までで6医療機関5人の医師の登録にとどまっていたため、地域を挙げた取り組みに期待を寄せていた。

 建石医師は、処方までの流れや製剤の位置付け、効能などを説明。エピペンを使用していれば救命し得た事例なども提示し、医療機関、行政の積極協力・連携を要請した。
 昨夏からエピペンを販売している、薬品メーカーのメルク(東京都)の担当者2人も出席し、使用方法などを詳しく解説した。

 説明会の後、飯田市立病院の医師8人が新たに登録し、現時点で飯伊の登録医は16人と大幅に増加。同院、中村喜行内科科長は「その場で対処できる緊急対応策として、役割は大きい。地域の多くの医師が登録できるような取り組みを進めたい」と話していた。

 ハチに刺されて命を落とす人は、国内で年間平均35人に上る。林業現場で職員がハチに刺される事例は1週間に複数回に上るといわれ、山間地域に位置する飯伊では、特に利用価値の高い製剤となる。

 自らもスズメバチに刺されて命の危険を感じた経験を持つ飯田市森林組合の清水一好参事は「シーズン中、ハチに刺されない職員はいない。現場で働くものにとっては最高の製剤だ」と歓迎。この日の処方で全現場職員がエピペンを携帯するようになったことにも触れ「やっと安心してシーズンを過ごすことができる」と胸をなでおろしていた。

 建石医師は「働き盛りの人の命を救うことができる。製剤の存在を大勢の方に知っていただき、必要とする人への処方を広げていく契機にしたい」と語っていた。

 8月1日現在で飯伊の登録医療機関は次のとおり。すきがら医院、飯田病院、上松医院、富草診療所、和合診療所、浪合村診療所、矢沢内科医院、健和会病院、飯田市立病院。


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製作・著作:南信州新聞社/南信州サイバーニュース