2004年9月25日 >>>戻る
高森の強盗殺時で被害者宅を捜索
 高森町吉田のパート従業員、木村あい子さん(74)を殺害したとして、逮捕・送検された西本正二郎容疑者(27)の供述に基づいて、飯田署の特捜本部は23日、飯田市の天竜川で木村さん宅の鍵など証拠品の捜索を行った。

 7日夜に木村あい子さんが自宅玄関で殺害された事件では遺体発見時、玄関や勝手口、窓はすべて施錠されていた。西本容疑者は「玄関の鍵を自分で閉めて逃げた。玄関の鍵は市内に捨てた」などと話しており、特捜本部は供述の裏付けのために捜索を行った。

 この日は150人態勢で、市内数カ所で証拠品を捜索した。同市下久堅南原の天竜川ではゴムボート2隻を出し、捜査員が水中に潜って川底などの捜索を行ったが、川の流れが速く、作業は難航。何も見つからなかったため、24日も引き続いて捜索を行った。

 また、特捜本部は22日までに、西本容疑者が犯行に使ったとみられる作業用の手袋を、供述通り同市郊外の山中で発見。木村さん宅をはじめ、同町出原の加藤仁さん(69)、同市大王路の島中実恵さん(77)宅のいずれの現場からも、同容疑者の指紋は検出されておらず、特捜本部は3事件とも、同容疑者が犯行時に指紋を残さないために手袋をはめたとみて調べている。

 強盗殺人容疑で飯田署の特別捜査本部に逮捕された住所不定、無職、西本正二郎容疑者(27)が関与を供述している4件の殺人事件のうち、パート従業員、木村あい子さん(74)と加藤仁さん(69)の被害者2人が住んでいた高森町は22日、西本容疑者が「独り暮らしのお年寄り」を探すのに使ったとされる有線電話帳を回収するよう、発行元の同町有線放送農業協同組合(宮島元晃組合長)に要請した。

 有線電話帳は加入世帯の電話番号のほか、家族構成や地区などが記され、家族構成の欄に同居家族が記載されていないと独り暮らしの家かどうかが特定できる。町内の約8割が加入しており、加入世帯や町公共機関などには無料で配布されている。

 西本正二郎容疑者(27)が飯田署の特捜本部の調べに対して、独り暮らしの高齢者を割り出すために利用したと供述。このため、同町は悪用されるのを防ぐために、「不特定多数が閲覧できる公共施設など約10カ所については、置かないでほしい」と撤去を申し入れた。

 町などによると、番号簿約3050冊が、有線放送の加入世帯や公的機関に配布されているほか、町民グラウンドなどの公共施設にも、専用の電話機と一緒に置いてある。町側はそのうちの公園や高速バスの停留所など約10カ所の撤去を提案した。

 宮島組合長は「一般にも利用者はいる。今月末の役員会で検討したい」と話している。

●容疑者逮捕から1週間

 今月17日に高森町吉田のパート従業員、木村あい子さん(74)殺害容疑で、本籍飯田市桜町、住所不定、無職、西本正二郎容疑者(28)が逮捕されてから24日で1週間が経った。高森、飯田、愛知で起きた別の強盗殺人についても関与を供述。遺族らは改めて、愛する人の命が奪われたことの怒りや悲しみの思いを語った。

 西本容疑者は木村さんのほか▽8月の同町吉田、無職、加藤仁さん(69)▽4月の飯田市大王路、無職、島中実恵さん(77)▽愛知県春日井市で1月14日に個人タクシー運転手の湊保雄さん(59)=名古屋市天白区天白町=が殺されて発見された事件への関与を認めている。

 木村さんの50代のおいは「逮捕されてから1週間が経過したが、無念は晴れないまま」と依然、苦しい口調。加藤さんの親戚の女性(67)は「逮捕後に墓前に報告した。これで仁さんも浮かばれると思うが、日が経つほどに悔しさや憎さが増すばかり…」と容疑者に対する怒りもかいまみせ、島中さんの子は「母の殺人については認めているが、まだ自分の母親に対しての容疑では逮捕されていない。1日でも早く逮捕されることを、これからも祈りたい」と答えた。

 「警察から犯人扱いされた」といい、警察の捜査に対する不満の声も。島中さんの長女、桜井好子さん(51)は6月半ばごろにポリグラフ(うそ発見器)にかけられた。取調室では連日「自首しろ」「お前が犯人だったらいい」と繰り返し言われ、「私は犯人じゃないですよ」と否定しても「自首してくれたら、刑を軽くしてやる」と言われ、耳を疑ったという。

 「交番に呼ばれて行き『お母さんに自首を勧めてほしい』と切り出された。母を犯人にさせようと思えた」と桜井さんの娘(28)。桜井さんは「家族内にも疑心暗鬼が広がり、うつ病になった」と説明し、警察に対しては「容疑者が逮捕されたことで捜査の行き過ぎを正式に認めて、同じような被害者が生まれないためにも、間違いは間違いと認めてもらいたい」。

 ある捜査員は「厳しい取り調べがあったのは否定できないような気がする。遺族に迷惑をかけたという思いもあるが、しかし、疑わしきものを徹底して調べなければならないのが捜査だと思っている。でなければ、事件は解決しない」と話す。

 「遺族を犯人扱いしたのは、警察だけではない」―。報道のあり方に疑問の声を投げかける遺族もいる。

 「町内で営まれた葬儀では駐車場に止めた車内からカメラを構え、葬儀が終わるころには遺族らのそばににじり寄り、目の前で容赦なくシャッターを切り続けていた」と加藤さんの弟の1人は憤りを隠さない。

 加藤さんの事件発覚から約1週間後には、経営する店内に車を乗り付けて「真実を聞かせてくれ」と訪れた記者もいた。弟は「警察にすべて聞いてくれ」と言葉を返すと、記者は「警察に捕まったら真実が聞けなくなる」とさらに詰め寄ったという。

 警察の2日間にわたる事情聴取から解放されて、ようやく仕事に復帰したが、今度は報道陣に朝から晩までつけまわされる日々が続いた。風評被害も広がり、店の売り上げも落ちたという。「『報道の自由』といわれるが、だったら何をしてもいいのか。逮捕から1週間が経とうとしているが、なぜあの時、私が犯人扱いをされなければならなかったのか、理由を聞きたい」と怒りをあらわにする。

 木村さん殺害で、西本容疑者逮捕から1週間が経ったが、遺族らの心の中には、尊い命を奪われたことの憤りが宿り続けている。その一方で、別の被害で怒り、悩み続けている遺族がいるのも確かだ。




清内路村長の所信表明
高森の強盗殺時で被害者宅を捜索
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製作・著作:南信州新聞社/南信州サイバーニュース