2004年1月1日 >>>戻る
アテネ五輪の夢

飯伊から競歩、カヌー、水泳で挑戦
パラリンピック、水泳の前田選手が濃厚
度の祭典「第28回オリンピック競技大会」が8月13日、ギリシャ・アテネで開幕する。29日までの17日間、全28競技で熱戦が繰り広げられる。大会を前に、全国各地で開かれる各競技の五輪代表選考会は、3―4月がピーク。アテネ五輪に照準を定め、チャレンジする飯伊出身、在住の選手たちを追った。【遠山貴雄】



競歩でアテネの舞台に
吉沢50キロ、高田20キロに挑戦
代表選考会は1、4月


 アテネ五輪出場を目指す飯田下伊那地区出身のアスリートがいる。いずれも競歩選手。天龍村出身の吉沢永一(23)=石川県長谷川体育施設=と、飯田市上郷飯沼出身の高田浩二(19)=明治大学3=の2人だ。今年1月に20キロ、同4月に50キロの大会でそれぞれ最終予選を迎える。

 競歩のオリンピック競技は20キロ、50キロの2種目。2人は1月25日、神戸市の六甲アイランドで開催される「第87回日本陸上競技選手権大会20キロ競歩大会」、4月11日に石川県輪島市で開催される「第87回日本陸上競技選手権大会50キロ競歩大会」の両大会に出場し、五輪最終予選を戦う。

 国際陸連は昨年11月、ベルリンで開催した評議員会のなかで、アテネ五輪参加標準記録を決定。各国で標準記録突破者のうち3人までが参加できる「A標準記録」、同記録突破者のうち1人が参加できる「B標準記録」がある。

 それぞれの標準記録は50キロA=4時間、同B=4時間07分、20キロA=1時間23分、同B=1時間24分30秒と決まった。

 競歩の名門・明治大学で培った競技力で最終予選に臨む吉沢。昨年11月2日、山形県高畠町で開かれた「全日本競歩高畠大会」で50キロ競歩に出場し、A標準を破る3時間51秒27で2位に入った。だが、同大会で4人がA標準を破ったため、4月の最終予選が終わるまで代表の行方は分からない。

 日本陸連公認コーチで県陸上競技協会競歩強化コーチの大坪章男さんは「高畠大会の記録は今までなら充分、五輪代表に選ばれている記録」と指摘する。吉沢は五輪出場を目指し1月中旬まで、メキシコで強化合宿を実施。最終予選に備える

 一方、高田は1月の最終予選で20キロ競歩の代表入りをかけて戦う。例年以上に強豪がひしめき合う20キロ。すでにA標準を突破している選手と、高田を含む最終予選にかける選手たちによる熾烈なレース展開が予想される。
 「20キロは実力的に甲乙つけがたい選手ばかり。最終予選結果では、高田の代表入りも十分にあり得る」と大坪さん。「高田に合うたびに、最終予選にかける並々ならぬ気迫を感じる」と語る。

 競歩先進県の長野。飯伊地区からはこれまで、20キロでソウル五輪に出場した酒井浩文(下農高―飯田消防署―国士舘大―豊丘村神稲在住)、50キロでバルセロナ五輪に出場した園原健弘(飯田高―明治大―アシックス―現在・埼玉県蕨市在住)の2人を輩出しており、今回、吉沢、高田の2人が後を追う。

 県下では酒井、園原を加えた4人が五輪を経験している。20キロの柳沢哲(中野実業高―山梨学院―綜合警備保障)、50キロの小池昭彦(長野高―慶応大―安藤スポーツ文化財団)で、メダルにはまだ届いていない。

 陸上でも過酷な競技の一つに数えられる競歩。飯伊地区の中で、最もアテネ五輪に近い2人の選手が今年早々、大舞台をかけて挑む。この地からオリンピック選手が再び生まれることを願うばかりだ―。



スラローム男子K―1
 海外経験を背に臨む
 3月J杯が最初の難関


 世界を舞台に活躍するカヌーイスト、矢沢一輝(14)=飯田西中3年=がスラローム男子K―1の部で、五輪出場を目指す。今年3月、富山県で開くジャパンカップ第1戦が最初の難関で、2位以内に入り、ナショナルチーム加入が最低限の条件。続く4月の世界選手権で8位に入れば、アテネ五輪行きが決まる。

 巧みなパドル操作が要求されるK―1。選手たちは2メートルのパドルを操りながら、コース上に設けられた18―20のゲートを次々に潜り抜け、全長約400メートルの川を下るという。

 日本代表として、矢沢は昨年11月13―16日、台湾で開かれた「カヌーアジア選手権大会」に個人のスラロームK―1男子と、団体のスラロームTK―1男子の部に出場した。

 中国、タイ、香港、イランなど12カ国の代表者約40人が参加。K―1は予選5位、セミファイナル3位で決勝に進んだものの、まさかの失策で5位に。高校生と大学生に混じり、3人で組んだTK―1では本来の実力を発揮。優勝した中国には一歩及ばなかったが堂々の2位に入る健闘を見せた。

 昨年4月には群馬県水上町の利根川で開かれたNHK杯全日本選抜カヌースラローム競技大会に出場。全国トップクラスの選手31人で競い合った結果、予選5位、決勝ではミスが生じて9位に終わった。

 現在、全日本ランキング17位。大会関係者は「中学生ながら恐るべき勢いで成長している。次世代のけん引役を担う一人」とみており、最終選考会を兼ねた3月のジャパンカップでの躍進に期待を寄せる。

 小学1年のころ、カヌーイストだった父、勝美さん(43)の背中を見てカヌーを始めた。6年でシニア大会に出場、中学から本格的に始動した。「ほかでは味わえないジェットコースターのような迫力」が魅力。

 富山や明科など週末は各地を遠征しているほか、平日夜は地元の天竜川でトレーニング。ジュニアプレ世界選手権や海外練習会などにも加わっており、常に世界を視野に入れた練習を積み重ねている。

 今年3月、中学を卒業する矢沢。これまでの実績が認められたうえに、将来性が買われ、埼玉県入間市の私立高校への進学が決まった。シドニー五輪で活躍した安藤太郎選手を輩出したカヌーの強化校。「夢であったオリンピックに一歩近づいた。これからが本当の正念場だ」と決意を固める。



「北京五輪は兄妹で」
 心強いパートナー加わる

 昨年、矢沢一輝に心強いパートナーが加わった。兄の後姿にあこがれを抱き、兄と共に五輪の舞台に立つことを夢見た、妹の亜季(12)=丸山小6年=。昨年、初めて公の大会に出場した。

 昨年7月青森県で開かれたジュニア日本選手権がデビュー戦。高校生に混じって参加した亜季選手はワイルドウォーター3位、スラローム8位に入る好成績で華々しく初戦を飾った。

 翌月、山梨県で開催された「全国少年少女カヌー大会」では、200メートル小学校5、6年の部、パラレルスラロームともに優勝、二冠を達成した。早くも兄をしのぐほどの大物振りを、全国のカヌーイストたちに見せつけた。

 来年のジャパンカップには5戦のうち3戦出場する予定。「兄が全国の舞台で脚光を浴びる姿にあこがれ、3年の時にパドルを握った。夢は兄と一緒にオリンピックに出ること」。

 飯伊地方が生んだカヌーイスト兄妹。「夢は北京オリンピック。兄妹で世界舞台に立ちたい」と口をそろえる。



水泳 伊原裕貴
「チャンスは十分ある」
2度目の挑戦に全力投球
自由形400メートル、1500メートル


 飯田市大瀬木出身で早稲田大学4年のスイマー、伊原裕貴(22)は今年4月、東京辰巳国際水泳場で開かれる日本選手権水泳競技大会に出場し、五輪代表入りを狙う。

 種目は自由形400メートル、1500メートルの2種目。前回の日本選手権大会で3位に入った実力が発揮できれば、出場も夢ではない。小学校5年から抱いた「オリンピック出場」の夢。ようやく手に届く位置まで登りつめた。

 主に大学のプールが練習場。1日平均で1万5000メートル泳ぐ。昨年末には約3週間、アメリカに行って強化トレーニングを敢行。極環境下で、体をいじめ抜いた。

 大会では五輪派遣標準記録突破が選考を左右するという。標準記録は400メートルが3分50秒03、1500メートルが15分11秒00。「いずれも日本記録を上回っているため、破るのは至難の業。だが、置かれた環境はいずれの選手も同じはず。やるしかない」と言葉を強める。

 なかでも、1500メートルには自信がある。昨年の日本選手権で3位に入った経験がその裏打ち。自己ベストは15分32秒05。標準記録まで約20秒の壁がある。「距離が長い分、100メートルで1秒縮めるつもりで臨む」。

 スピード不足にやや課題は残るが、強靭なスタミナと人波はずれた練習量で克服した。「あとは当日の体調しだい」。

 4年前にも日本選手権に出場したが、力振るわず惨敗した経験を持つ。「20代前半が男子水泳のピーク」といわれる水泳界。22歳の伊原選手にとって今回が2度目の挑戦であり、最後のチャンスでもある。

 「オリンピックに出場したい」が小学校5年生の時に抱いた夢だった。あこがれの夢舞台まであとわずか。「これまで遠い存在だったオリンピックも、徐々に日が迫るにつれ実感が湧いてきた。チャンスは必ずあるはず」と意気込む。



パラリンピック


前田大介
シドニーの雪辱期す
2大会連続出場に燃える
水泳5種目で


 9月17―28日、ギリシャ・アテネで開催されるパラリンピックも目が離せない。松川町大島の前田大介(36)がその一人だ。水泳でアテネ五輪出場を狙う。

 50メートル、100メートル自由形のほか、50メートルバタフライ、100メートル平泳ぎ、200メートル個人メドレーの計5種目ですでに世界標準記録を破っており、後は2月下旬―3月上旬に決まるアテネ五輪出場枠を待つだけ。

 昨年、6月22日に茨城県笠松運動公園で開かれた第17回関東大会に出場し、50メートル自由、25メートルバタフライで大会新を樹立。8月16―17日、大阪市なみはやドームで開かれた2003ジャパン・パラリンピック大会でも3種目で優勝を飾っている。

 同10月4―5日、東京辰巳国際水泳場であった第20回日本選手権大会では50メートル自由形2位、100メートル自由形1位だった。年末には広島市で開かれた強化合宿にも積極的に参加し、五輪代表入りに備えた。

 リハビリを兼ねた体力づくりを目的に1997(平成9)年から水泳を始めた。1年後には公式大会に出場。世界に通用するスイマーとして、周囲から期待の声が徐々に高まった。

 前回、シドニー五輪にも出場している。50メートル自由、100メートル背泳ぎなど7種目で競ったが、入賞入りはならなかった。

 2大会連続となる五輪出場に向け、「前回シドニーの雪辱を果たす。今度は高望みせず、種目を絞って挑戦する」と前田。前回果たせなかったメダル獲得を誓い、練習に余念がない。現在世界ランキング10位。


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製作・著作:南信州新聞社/南信州サイバーニュース