― 明けましておめでとうございます。とり年の新春を迎えました。輝かしい新春、と言いたいところですが、昨年は長雨、度重なる台風の上陸、さらには新潟県中越地震が発生し、まさに災害列島の名をほしいままに、暗い1年となってしまいました。また、地方分権と言いながら、国の三位一体改革も地方の主張が思うように通らず、真の地方の時代は当分先になるように感じます。
暗い話ばかりしていても仕方がありませんので、今年こそ明るい年であってほしい、との願いを込めて、三遠南信地域の中核を担う浜松、豊橋、飯田の3市長に、新春にちなんで夢のある話をしていただきたいと思います。今年は2月に愛知県常滑市沖に中部国際空港が開港し、3月には長久手町を主会場に愛知万博「愛・地球博」も開幕します。この2大イベントによって、中部地方は人、物、情報の流れがますます加速し、活気づくことになりそうです。
三遠南信の地域間交流も、サミット開催は昨年までに4巡し、平成20年頃には三遠南信自動車道も開通の見通しとあり、今後新しい時代に入ろうとしています。そこできょうは新春にあたって「三遠南信新時代へ」をテーマに、3市長には大いに夢を語っていただきたいと思います。
まずは浜松市長から、平成の大合併の経過を含め、地域の現況をお聞きしたいと思います。
北脇 浜松市では昨年4月から10月まで、浜名湖を舞台に「浜名湖花博」を開催し、当初目標を上回る544万人ものお客様をお迎えすることができました。会場では、季節を彩る6000品種、500万株もの花々により、花や緑を取り入れた豊かなライフスタイルを提案し、あわせて浜名湖や浜松地域の魅力を広く発信できました。南信州地域からも大勢の皆様にご来場いただき、ご支援賜りましたことを心より感謝申し上げます。
昨年は、市町村合併におきましても大きな進展がありました。浜松市を中心とする天竜川・浜名湖地域の12市町村は、今年7月1日の合併に向けて協議を進めてまいりました。3200を超える事務事業のすり合わせなどを経て、去る12月には、合併協定書の調印と各市町村議会での合併議決が行われ、いよいよ新市誕生が現実のものとなってまいりました。
合併によって誕生する新・浜松市は人口80万人。遠州灘から佐久間町、水窪町までも含み、県境を挟んで南信濃村や天龍村と接することとなります。さらに、合併から2年後の平成19年には、政令指定都市への移行を目指してまいります。地域を取り巻く環境がますます厳しくなる中、政令指定都市の実現により都市のイメージアップを図り、経済活動や文化活動を活発化させ、交流人口、定住人口の拡大につなげていくことが重要な都市戦略と考えております。
早川 東三河地域は豊川(とよがわ)を中心に1つのまとまりを見せていますが、平成5年8月に地方拠点都市地域に指定されて以後、そのつながりはますます強まっています。最近では、東三河の17市町村すべての自治体が参加して、水道使用料1d1円相当額を出し合い、豊川水源基金により水源涵養をしていく取り組みを来年度から行うことになっています。このような状況の中、合併への取り組みも進められ、北から豊根村と富山村、設楽町と津具村、新城市と鳳来町と作手村、そして南に下がって豊川市と一宮町、田原市と渥美町と、現在、5つの地域で法定合併協議会が動いているところです。
現在の少子高齢社会における地方分権時代の中でのまちづくりを考えますと、地方自治体として一層の行財政能力の向上と、効率的で効果的な運営が必要であると考えています。そうした自立した都市を目指していくには、市町村合併は一つの有力な手段として位置付けられると同時に、県のあり方も変わる必要があると思います。愛知県においても「分権時代における県のあり方検討委員会」が設置され、この度報告書が出されましたが、県の役割もより広域的なものに重点が置かれていくものと感じています。
浜松市さんが今年合併し、2年後には政令指定都市になろうとされていますが、県境を越えた課題に対しての取り組みも一層重要になります。その場合、明治維新の廃藩置県以来続いた制度の見直しに及ぶわけですが、やはり基礎自治体である市町村の形が変わってくる以上、県のあり方を含め、道州制という制度も当然議論になっていくでしょう。
牧野 本市は平成8年の第4次基本構想策定時に20―30年先の目指す都市像として「環境文化都市」を掲げ、市民、行政、企業等がお互いに力を合わせて様々な活動を展開してきました。具体的には、県内初の環境基本計画「21いいだ環境プラン」策定をはじめ環境基本条例の制定、地域ぐるみの環境認証への取り組み、太陽光発電施設の普及、環境をキーワードにした地域活力増進のための天竜峡エコバレー構想の推進、グリーンツーリズムの展開などで、先頃も環境大臣から「循環・共生・参加まちづくり表彰」を受けましたが、このほか内閣総理大臣賞など数々の賞をいただき、外部からも高く評価されるに至っております。
しかしながら、当地域における社会経済情勢には誠に厳しいものがあり、下伊那地方事務所を中心に組織された「飯田・下伊那経済自立化研究会議」の中間報告書によれば、飯田下伊那の産業付加価値による必要所得額の充足度、つまり経済的自立度は45%程度とされている。我が国のGDPのうち公的部門の占める割合が20―30%であることを考慮すると、経済的自立度を10年間で70%まで引き上げなければならないと考えています。
― バブルの時代には、行政も税収が潤沢に入りましたが、これからは財政が縮小しても拡大することは考えられません。そんな中、これからの地域振興をどう整合させていったらいいでしょうか。それぞれの今後の地域づくり振興策と、将来像をお聞かせください。
早川 昨年は三位一体改革で揺れた年でした。本市の財政環境も大きく影響を受けています。そして今年は全国的に合併が進み、自治体のあり方も変わってきます。そんな中、愛知県内では中部国際空港の開港、「愛・地球博」の開催、本市では市制施行100周年事業の開幕など、ビッグプロジェクトが次々に展開されることとなります。このような変革の時期がしばらく続くでしょうが、国におきましても地域からの発想による事業展開を支援していく構えがありますので、今後は地域のそれぞれが地域づくりのアイデアを高め、地域振興を行っていくことが重要だと考えています。
本市といたしましても、すでにいくつか動いていますが、構造改革特区や地域再生計画、都市再生整備計画の仕組みを広域連携や産学官・市民との連携の中で活用し、地域振興策としていくように市役所の中にもワーキング会議を設け推進しています。また、平成18年に市制施行100周年を迎えることから、これからは市民と行政の役割と責任を明確にする中で、市民一人ひとりの発想やアイデアが実現されていくような自立したまちづくりを進めていきたいと考えています。
牧野 21世紀は環境の世紀ともいわれ、環境文化都市の理念はいささかも輝きを失っていませんが、時代はまさに大きな転換期であり、グローバル化、少子高齢化、情報化、価値観の多様化などが急速に進むとともに、好むと好まざるとにかかわらず地域の総力をかけた地域間競争の時代に突入しました。国の下支えに頼らなくても経済的に自立していける地域にならないと生き残りが困難な厳しい時代であり、環境文化都市のよい理念を継承しつつ環境と経済の融合を図り、自主財源を確保して市をパワーアップし経済的自立度を高めることが必要です。
そのためには、「株式会社飯田市役所」の発想を取り入れた行財政改革のほか、地域経済活性化プログラムを策定し農業、工業、商業、観光業など「外貨」を稼げる産業の基盤を、それぞれの業界と行政が協働して強化する「産業づくり」に取り組んでいきたいと思っております。また、本市の魅力は自然風景などに裏打ちされた多様な生活形態の中にあり、山、里、街それぞれにおける生活がしっかりした形で保たれることが必要であることから、山の生活については農業の高付加価値化やエコツーリズムなどの産業振興によって、街の生活については「まちなか観光」や地域公共交通の整備による中心市街地活性化によって再生を図る「地域づくり」を進めていきたいですね。
さらに、子育て支援策を強化し、「地育力」すなわち地域全体で子どもを育てる力による人材育成や地域外の大学と包括協定を結び大学機能の一部を本市に誘致することによる人材育成などで、飯田に住むことを誇りに思うたくましい子どもが育ち、高校卒業後に地域外に一旦出ることはあっても子育ての時期になったら飯田に帰ってきて定着するような「人づくり」を図りたい。これらの「産業づくり」「地域づくり」「人づくり」を通じて、子育て世代が本市に住むことができ、自分の子どもたちが同じ地域に住むことで高齢者が安心して暮らせ、若い担い手が確保されることで美しいふるさとを保全することや地域文化の継承が可能となる「文化経済自立都市」を目指し、「行かまいか!飯田 やらまいか!パワーアップ」の精神で、人と人とを結び、心を結ぶ「水引型地域運営」に努めていこうと思います。
北脇 浜松市は古くから「ものづくりのまち」として発展し、近年では浜松国際ピアノコンクールの開催などにより「音楽のまち」としても定着してきました。こうした中、「浜名湖花博」を一過性のイベントに終わらせることなく、市民の「花」に対する意識の盛り上がりやさまざまな経験の蓄積など、花博によって築かれた有形無形の資産を継承・発展させていくため、新たに「花のまち」を都市づくりにおける共通の目標として掲げ、市民協働のまちづくりを進めていきたいと考えております。
また、天竜川・浜名湖地域の12市町村の合併につきましては、私たちは全国に類例のない、新しい魅力的な大都市を創るという意気込みを持って取り組んでいます。その思いを集約したものが「環境と共生するクラスター(ブドウの房)型政令指定都市」という新市の都市ビジョンです。
この地域には天竜川や浜名湖、北遠地域の山々など、優れた自然と全国でも指折りの工業、農業があります。これまで大都市というと、過密で環境が悪いというイメージがありますが、私たちは豊かな自然環境と活発な都市的活動が共生する21世紀型の大都市を目指します。また、地域自治区などにより都市内分権を進め、旧市町村をブドウの一粒一粒のように大事にしながら、それが房として連なった新市を建設してまいります。
― 議論はまだ煮詰まっておりませんが、昨年のサミットでも講演がありました将来の道州制についてのお考えは。また2年前、中部経済連合会が流域ごとの道州制を打ち出しました。行政を流域単位にすると、山間部、平野部、沿岸部の一体的な整備が可能になるという理由ですが、どう思われますか。
牧野 道州制について、国や経済界などから様々な提言がなされていることは承知しており注視しているところです。今、国と地方は三位一体改革を巡り熾烈な綱引きを展開しているところであり、また、市町村が地域における総合的な行政主体として住民に身近な行政サービスを地域の実情に即して提供する役割を担うことから都道府県のあり方も変化せざるを得ず、道州制は地方分権、地方主権の進展過程における一つの議論ではありますが、基本的枠組みの問題であり、まだまだこれから議論を重ねていく必要があろうと思います。
川の流域でのまとまりという考え方については、上流部から下流部までの住民が同一の河川から多くの恵みをもらされているとともに生活環境として互いに影響し合って暮らしていることから、三遠南信地域のこれまでの文化や歴史、経済活動の連関も踏まえると、そういう考え方もあろうかと思います。
北脇 現在の都道府県制度の見直しを検討していく中で、地域ごとの実状に合った、より広域的な行政機関の必要性が指摘されています。
道州制については、単に県が一緒になるだけでは意味がなく、国からの権限・財源の移譲や国の出先機関等を道州制の中に取り込むことが前提であり、国・県の協議には、まだ相当の時間がかかるものと考えます。浜松市としては、様々な道州制の区域が想定されますが、これまでの交流の歴史や浜松にない魅力的な資源・機能を補完するという観点からも、三遠南信地域のまとまりを大切にしたいと考えております。
「流域ごとの道州制」の提案については、21世紀が「水の世紀」とも言われ、健全な水循環が大きな課題となる中、上下流域が運命共同体として連携・協力を進めるものかと思います。「流域ごとの道州制」が、行政圏のあり方として現実的かどうかという問題はありますが、天竜川流域に位置する三遠南信地域において、そのまとまりを大事にするという考え方においては共通点も多いと考えます。
早川 そうですね。東三河においても、そして三遠南信というエリアにおいても広域連携は大切であり、そういう面では実に多様な課題解決に向けた連携を行っています。これからは、この地域の住民がもっと具体的に必要性を感じる連携が重要になると考えています。つまり、豊かさやゆとりを実感できる状況にしていこうという連携、犯罪や災害に対する連携や相互応援で住民の安全や安心を培い、自然環境を良くし、安らぎの共感が得られるような、どちらかと言えばソフトな連携により、生活の実感が一層高められるのではないかということです。
この三遠南信地域は、それぞれ違った要素もあれば、共通した要素も持ち合わせています。この要素を有効に活用するためには、まだまだ連携を深めていかなければならないと思います。そういう意味では、長野県、静岡県、愛知県が道州制の検討の中で、再び道州の境界にならないように懸念されますとともに、三遠南信地域がこれまで以上に協力してアピールしていかなければならないと考えています。
都市基盤整備やダイオキシン対策、そして水の安定確保と水質保全、さらには福祉政策など広域的対応が重要となっている現在、多くの地域で合併の議論が進められています。国と地方の役割を考え、地方分権社会を進めていくにあたり、身近な自治体と国の中間にあたる都道府県制度の見直しとして、道州制の議論は当然行われるべきものと考えております。そういう意味でも、中経連が示された「道州制移行への提言」は当を得ているものと考えています。
また、三遠南信地域では浜松市が大合併し、その後、政令指定都市に移行することが見込まれる中、静岡県における県のあり様も問い直されるでしょうし、愛知県におきましても同様です。先ほども申しましたが、愛知県におきましては「分権時代における県のあり方検討委員会」が報告書を出したばかりです。今後、この議論は税・財源の問題などを含め、活発化するものと考えられます。
― 今年は2月に中部国際空港が開港するほか、3月には「愛・地球博」が開幕します。交流人口が急上昇し、中部地方が非常に活気づくことになりそうです。これを三遠南信の地域振興にどう生かしていけるか、そのお考えをうかがいたいと思います。
北脇 地球規模での大交流、大競争の時代を迎え、本地域の振興発展のためには、国内遠隔地はもとより、急速に経済発展を続ける東アジアをはじめ、海外との交流が極めて重要になっています。
とりわけ、中部国際空港は本格的な「空の時代」を迎える中、三遠南信地域と諸外国を直接結ぶ新しい「空の玄関」として、その活用が期待されています。三遠南信地域には、輸送用機器や精密機械などの産業が集積し、農業分野においても付加価値の高い施設園芸作物などが生産され、世界市場を含めた的確な対応が求められています。また、観光客の誘客の面からも、中部国際空港の積極的な利活用を進めていくことが課題となっています。
「愛・地球博」の開催につきましても、国内外から1500万人の来場者が見込まれており、三遠南信地域の魅力やそれぞれの都市の個性・文化を全国・世界に向けて発信する絶好の機会であります。来場者が、三遠南信地域を訪れていただけるよう、地域が一丸となって誘客や情報発信、さらには受入れ準備を進めていくことが必要です。
早川 交流の面から考えると、現在は国と国という交流の時代から、地域と相手国の地域との交流が盛んになってきています。3月25日から「愛・地球博」が始まりますが、まずもってその成功を祈念するわけです。「愛・地球博」の取り組みで、愛知県内の市町村が1市町村1国フレンドシップ事業として、それぞれにもてなしと交流を深める事業を行っています。本市の相手国は中国、ドイツ、リトアニア、米国、ホンジュラス、ベネズエラ・ボリバルの6カ国で、今後の地域と外国との交流をこれまで以上に深めていく良い契機だと考えられます。また、24時間空港である中部国際空港の開港は、その交流をさらに容易なものにすることでしょう。
しかし、一方で国際的な地域競争も生まれると考えられまして、交流をより効果的に進め、競争にも勝ち抜いていくには、この地域のポテンシャルを高めていく必要があります。そういう意味でも中部国際空港や三河港という流通の拠点を財産とし、三遠南信というつながりでグローバルな交流を進めていくことが重要になってくると思います。
牧野 今年は中京地域への入込客の大幅な増加が予想されており、このことを積極的に利活用するため、観光協会や南信州観光公社などと協働して多くの人に飯田を訪れていただけるような「お誘い戦略」「お迎え戦略」を立てる準備に入っているところです。
観光は21世紀のリーディング産業といわれ、また、1次産業から3次産業まで多様な産業をつなぐ接着剤の役割を担うため、それらの産業を連携した新たな6次産業づくりにもつながる、経済自立化のための重要産業です。
「住んでみたい所が訪れてみたい所」であり、地域の豊かな自然や多様な産業、生活文化という地域資源を総点検し、足元の素晴らしさや魅力の再発見を呼び掛け、内外の人々と交流連携を活発にすることで、地域の誇りが高まるとともに、地域経済に波及効果が生まれるのであって、観光については南信州全体で考えていくべきであると考えております。
― それぞれ、ほかの2市に期待することはどんなことでしょうか。
牧野 飯田下伊那の付加価値生産性を100とすると、三遠南信のパートナーである浜松が154、豊橋が219で、大変高い生産性を上げている日本でも屈指のスタープレーヤーなのです。飯田の地域の状況は厳しいのですが、こうしたスタープレーヤーが周りに揃っていることはチャンスであると考えます。例えて言うならば、田臥勇太選手が米国のプロバスケットボールリーグのNBAで活躍しているように、自然や人間性、独自の文化など自分たちの地域の特徴をつかみそれを生かしていくことで十分対応できるし、チームワークも大切だと思います。
スタープレーヤーと生産者あるいは消費者としてのパートナーとして連携してやっていくことで、これからの地域間競争にしっかり生き残っていくことが可能ではないか。そういう意味で、三遠南信自動車道の早期開通も重要であり、浜松、豊橋両市と今後もますます密接な関係を築いていきたいと思うので、よろしくお願いしたいと思います。
北脇 都市間競争が厳しさを増す中で、この地域の都市が勝ち残っていくためには、三遠南信地域の一体的な振興・発展が、ますます重要になると考えます。
今後、市町村合併の進展と三遠南信自動車道の整備により、飯田、豊橋、浜松の3都市は距離的にも近くなり、住民交流も活発化すると予想されます。同時に、三遠南信地域全体の発展を牽引するリーダーとしての役割も大きくなり、その責任を果たしていくためには、3都市間での政策的な協調・連携を進めるとともに、相互に補完し合う関係を築いていくことが大切でしょう。
両市には、浜松市にはない魅力的な資源・機能があります。飯田市には、豊かな自然環境を背景とした天竜川の水源涵養機能や精密機械産業の集積、冷涼な気候を活かした特色ある農業や伝統芸能など。豊橋市には、我が国の自動車の輸出入を支える三河港や付加価値の高い農業、産学官の連携の実績など。それぞれすばらしい地域資源を有しています。
今後とも3都市の連携・協力を基軸とする三遠南信地域の一体感を醸成し、圏域全体の発展につなげていきたいと考えておりますので、よろしくお願いします。
早川 3市ともに、これまで成長してきた歴史があります。また、地理的にも産業の集積状況などにつきましても、それぞれに特色を持って発展してきています。今後は、その都市の持つ潜在力を有効に活用していくことが大切です。
三河港を持つ豊橋市からすると、港を活用して製造品の世界循環を進めていただきたいと考えていますが、同時に環境に配慮した循環型産業、循環型社会づくりを進めていかなければならないと思っています。幸い、この地域は環境に関する技術力も長じていると認識しています。また、意識の面でも共通の土俵を持っていると思います。例えば東三河では上下流が意識を一体とし、水源林涵養を行っていこうという試みを始めようとしており、今後は、天竜川水系の皆さんとも意識をともにしていきたいと思います。したがいまして、環境や水資源などの共通の項目を中心に、お互いに協力し、補い合いながら進めるためのお付き合いを、一層深めていきたいと思います。
― 最後の質問になりますが、今後新しい時代に向けて、3地域がさらに発展的な交流を展開するにはどうしたらよいかお聞きします。
北脇 三遠南信地域の交流は新しい段階を迎えると思います。先ほども申しましたが、私ども浜松の地域は合併すると、長野県や愛知県と接する大きな市になり、三遠南信地域が今まで以上に身近に感じられてくると思います。水窪町と佐久間町から、南信地域と接するわけですから、それを一体のものとする考えも必要になると思うんです。今でも浜松市民は、紅葉の季節や温泉などで、南信地域にずい分大勢来ているんですよね。今度我々が合併して南信地域と隣接することで親しみが沸いてきます。私どもも南信地域の情報を浜松市全体に伝えることに努めたいと思っています。
また、これからは、これまでの積み重ねの上に住民の交流にもっと力を入れる必要があります。いままで続けてきたサミットについても、今度は浜松の番ですが、地域の皆さんも参加できるサミットをやることで、互いの住民交流の大きなきっかけにしていきたいと思います。
― 飯田市は新しい市長が誕生し、工業発展や、自立度を高めることに力を入れていくことになっていきますが、いかがでしょうか。
北脇 そうですね。すでに「三遠南信バイタライゼーション」で、産業クラスターづくりに一緒になって取り組んでいますし、毎年、浜松市で行われる「ものづくりフェア」にも飯田市さんから参加していただいています。そういう交流がありますので、三遠南信地域の持っている良さをそれぞれ出して、お互いに補完し合うことが地域経済の発展に大きく寄与できるんじゃないかと思いますね。
早川 三遠南信全体の自治体が一緒になって活動している組織は、道路整備やサミットなど6つあります。そして三遠南信の中の自治体相互間の組み合わせの活動は20あるんです。その中には、文化、教育、スポーツなどさまざまな分野がありますので、新しい交流としては専門分野の人たちが集まり、もっと深められないかなと思います。
それから、飯田市長の産業論にからめていいますと、豊橋は3つの大学―、豊橋技術科学大学、愛知大学、そして企業起こしの豊橋創造大学があります。浜松には浜松医科大をはじめ、静岡大工学部、静岡文化芸術大があります。その私的な能力と財産を組み合わせることで、新しい技術開発なり、企業起こしなど、行政としてやる範囲が広がっていくのではないかと思います。地域の持っている大学の私的な能力、財産を大いに活用する中で新しい広がりが出てくるのではと期待しております。
― 従来にはなかった知的な交流でお互いが刺激し合って高めようということですね。それでは、浜松市とは隣になる飯田市はどうでしょう。浜松や豊橋に対する期待は大きいと思いますが。
牧野 はい。新春にあたり、両市長とお話ができ、力強いエールを送られたことは飯田市にとって非常に意義のあることであり、両市と連携しながら発展していく道筋を作っていければと思います。
経済の話からさせていただきますと、産学官の交流を三遠南信地域で戦略的に作っていくことができれば、新しい形として全国に誇れるモデルになるのでは、と思っております。いまもお話にありました、大学の活用や企業間交流で新しい展開を図るため、それに対して行政がどのようなサポートができるのか、調査、研究できればと思います。それから住民交流を含めた新しい三遠南信地域の交流は、私も前向きに取り組んでいきたいと考えておりまして、スポーツや文化的な交流事業がますます盛んになればと期待しております。
南信州は観光について全体的に特徴があると考えておりますが、全国的に見るとなかなか知名度が高いとは言えない部分があるので、中部国際空港や愛知万博等をうまく生かして、観光誘致に結び付けていけるかが重要だと思います。また、非常に近くに政令指定都市の浜松市が出来上がることは、南信州全体にとって心強い限りだと思います。三遠南信地域の発展の中でどういう戦略が打てるかは、政令指定都市という枠組みが増えた中で考えていけることも多くなると思います。それこそ新しい時代が始まる気がします。
それぞれの地域が持っている魅力は、ある意味で非常に特徴があり、先ほど、浜松市長さんがおっしゃったように、お互いに補完しあうことで3つの地域が一体的な発展を期待できるのではないかと感じております。これからも交流を深めて、ぜひ協働、コラボレーションまで持っていきたいという希望があります。よろしくお願いします。
― 中部国際空港ができれば、南信地方は信州の玄関口になるわけです。ぜひ一緒になって国際的な観光客の誘致にも期待したいと思います。新春座談会はこれをもって閉じさせていただきますが、きょうを機に、どうかこれからも3地域が力を合わせ、一体感がより高まっていくことを祈念しております。お忙しいところありがとうございました。
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