2007年3月1日 >>>戻る
南ア世界遺産へ、推進協発足
 南アルプスの世界自然遺産登録を目指し、長野、山梨、静岡3県10市町村が28日、山梨県南アルプス市内で「推進協議会」の設立総会を開いた。県境の枠を超え、協力、連携して世界自然遺産の登録を推進していくことで一致。会長に就いた小嶋善吉・静岡市長は「共有の財産である雄大な自然が世界の宝になるよう3県で協力していきたい」と期待をふくらませた。新年度から活動を具体化させ、7月にはサミットを開き登録に向けた決意を内外にアピールするほか、講演会、要望活動を展開し相互の連携を強化していく。

 長野県は1月29日に飯田市、伊那市、富士見町、大鹿村4市町村で連絡協議会を発足。山梨県は昨年10月に韮崎市、南アルプス市、北杜市、早川町4市町、静岡県は2月1日に静岡市、川根本町2市町でそれぞれ連絡協を立ち上げ、今回の推進協設立へ向けて準備を進めてきた。

 推進協の設立総会では、設立趣意書の確認に続いて規約を承認し、役員を選出。2007年度の事業計画と予算を決めた。うち役員選出では会長に小嶋静岡市長を推し、副会長に石川豊・南アルプス市長と小坂樫男・伊那市長を選出した。任期2年。

 事業計画によると、07年度は連携、協力体制の確立に向けた情報の共有化の推進〓を基本方針に、7月に「南アルプス・サミット」を開催する。この中で「南ア世界自然遺産登録推進アピール」を採択し、南アの保全と登録を目指す決意を内外にアピールする。8月には関係機関の支援を求めるため要望活動を展開し、2月に総会を計画。また専門家を交えた講演会を各地で行い、情報を収集したり、情報の共有化を促進させる。4月28日に都内で開く「国立公園フェア」への出展も検討しており、「素晴らしき南アルプス」をテーマに情報を発信する。

 予算は各市町村から負担金を集め、会議費、事業費として200万円を計上。静岡市80万円、飯田市を含む5市が20万円、4町村が5万円ずつ負担する。

 設立趣意書によると、日本列島の中央に位置し山梨、長野、静岡3県にまたがる南アは、日本を代表する山岳地帯。甲斐駒・鳳凰山系、白根山系、赤石山系によって構成され、国内第二の高峰、北岳をはじめ北の鋸岳から南の光岳まで重量感あふれる山岳風景を形成し、大井川、天竜川、富士川の源流部にもなる。氷河地形やハイマツ群落、特別天然記念物であるライチョウの生息地では地球規模での南限といわれ「まさに世界遺産にも匹敵」。南アの保全に努め、将来に継承していくとともにその価値を高め人類共有の財産のため、各市町村の英知を結集し連携、協力していく―とうたう。

 推進協の調べだと、南ア国立公園は1964(昭和34)年に指定され、3万5752ヘクタールに3000メートル級が10座ある。長野県側は国有林、山梨県側は県有林、静岡県側は製紙会社東海パルプの社有林と所有者が異なる。長野県側の面積は1万4079ヘクタール。

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 「南アルプスに関わる3県がこれによってまとまった。ようやく世界遺産登録に向けた本格的なスタートが切れたようだ。道のりは長いが、地道な活動を3県が一緒になって繰り広げ、情報だけでなく意識を共有していくことが一番大切になってくる」

 設立総会後、牧野光朗・飯田市長は新たな一歩に期待感を込めた。一方、中川豊・大鹿村長はシカを含む獣害対策の必要性を示唆。「南アルプスではライチョウが激減しており、その餌までシカが食べているとされ、非常に心配。獣害対策について3県だけでなく環境省を交えて検討していくべき」と今後の課題を挙げた。

 2003年、環境省と林野庁の検討会が世界遺産条約に基づく自然遺産登録の対象として南アが検討された。「日本を代表する山岳景観」としながらも「現時点での学術的知見では、推薦することはできない」として選外となった経緯がある。あれから4年が経ち、「当時は国主導の検討で地元の盛り上がりはなかった」(推進協)が、今回は各県で市町村合併を経た市が運動の中核を担い、合併後のまちづくりの象徴としても位置づけ取り組んでいく方針だ。

 飯田市では、観光による地域活性化と環境保全の両立を目指す「南信州エコツーリズム推進協議会」がシンポジウムを開くなどして、南アの環境を理解し観光に結び付けようと研究を進める。今回、県境の枠を超えた推進協が立ち上がったことで、10市町村の民間、行政が集積した南アの情報を共有化し、世界遺産登録にこぎつけたい。
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製作・著作:南信州新聞社/南信州サイバーニュース2007