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阿島傘新刊
喬木村教育委員会
B5判上製本126頁 化粧箱入り 本体価格 2000円
喬木村に伝わる和傘づくりの記録集

 喬木村教育委員会が編集した『阿島傘』(南信州新聞社刊)が出版され、話題になっている。

 江戸時代中頃に武士の内職としてはじまった喬木村の和傘づくりは、明治末期には年間30万本を生産するまでの発展を遂げたが、昭和に入ると生産地が不況と産地間競争、戦後は洋傘の普及によって次第に生産本数を減らし、今ではわずかに1軒を残すのみとなってしまった。

 明治から大正、昭和にかけて村の一大産業であった「阿島傘」と呼ばれたこの和傘づくりの記録を残そうと、喬木村民俗資料館(黒川良一館長)が中心になって1996年から資料収集が始まった。途中4年間の活動休止期間があったものの、2002年4月編集委員会(宮下周一委員長)が組織され、本格的な編集作業に着手、約1年間をかけて、このほど『阿島傘』として出版された。

 本書は、1章「阿島傘の特徴と種類」はカラーグラビア中心、2章「阿島傘づくりの歴史」3章「傘づくりの工程と材料」では図版や資料、豊富な写真を使って解説するとともに、4章では「和傘の歴史」で傘の起源や語源、また全国の和傘産地の現状などを紹介し、記録している。本文は大きな活字を使い、やさしい言葉遣い。難解な語句や事項の説明は、注を別記するなど読みやすく工夫されている。また「和傘とちょうちん」「ロクロ製造と水車」など多くのコラムを設け、身近な話題を提供。

 昭和初期から戦中戦後にかけて、実際に傘づくりの現場を見て育った執筆陣の思い入れもあって、和傘づくりについての貴重な記録であると共に、ノスタルジー溢れた喬木村の歴史書にもなっている。類書がなく、阿島傘づくりの記録としては唯一の本、郷土の歴史に関心を持つ者にとっては是非入手しておきたい一冊だ。
 
 村では現在「阿島傘伝承館」や「阿島傘の会」(小林武司会長)の活動、また小中学校の傘づくり体験などを通して伝統産業への理解を図っているが、教育委員会では、本の出版を契機に勉強会なども開いていきたいと考えている。本体価格2000円の書店販売用を作成した。