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伊那谷の文学碑 最新刊

 B5判上製本354ページ 定価3000円(税込み)

ふるさと文学碑研究会編 南信州新聞社出版局刊行

石碑に峡谷の熱情を追う『伊那谷の文学碑』
地元の教師ならではの15年がかりの労作

 このほど伊那谷の文学碑の写真と碑文・紹介をまとめた『伊那谷の文学碑』が発刊され、話題を呼んでいる。表題の示すように、飯田下伊那にある俳句・短歌・詩碑などの文学碑450基を訪ね、刻まれた碑文を解読、また碑建立の経緯を調査したガイドブックを兼ねた研究書である。
 南信州新聞に平成2年1月1日から平成14年4月まで12年にわたって303回連載になったコラム「ふるさと文学碑歳時記」をもとに、3年がかりで再調査・推敲を重ね、掲載時の分量を5分の1に縮めるなどして、足かけ15年をかけて1冊にまとめた。また本書出版にあたっては、新聞掲載時の執筆者にとらわれず、全面的に執筆者を入れ替える一方で、再三再四の踏査を重ね、遺漏や思い込みによる誤謬を少なくする努力をした。掲載当初から本にしてほしい、との要望が相次いだが、対象が450基を越え、調査研究と執筆、そして掲載と、長い時間を要したため、こうした形の出版をとったという。
 新聞掲載時には存在したものの本書刊行時には既に所在不明になってしまった石碑や、掲載しきれなかった校歌碑などもある。また石碑の写真は既に紛失したものも多く、半年かけて殆ど撮り直しを迫られるなどの困難もあったが、1冊になった文学碑の本を繙くと、歴史としては記述されることのない埋もれた野辺の石碑を通して、江戸末期から明治中期にかけての俳諧俳句の熱情、国学や歌道のうねり、大正昭和の文学者の往来に沸き返る峡谷の様、伊那谷を吹き抜けていった時代の熱情の痕跡がまざまざと甦ってくる。地元の小中学校に籍をおいた国語同好の教師たちでなければ出来なかったであろう、実に懇切な、実に時間のかかった労作である。その執筆陣は、鎌倉貞男、木下秋彦、熊谷紀夫、熊谷英彦、櫻井浩嗣、村松巧、吉澤健。
 本書はB5判上製本354ページ、定価3000円(税込み)。本書のお求め・お問い合わせは、南信州新聞社、下伊那教育会館内文学碑研究会、平安堂各店及び執筆担当者まで。(嶋)