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『飯田市歴史研究所年報』2号 新刊

B5判232ページ、定価1300円(税込み)
 飯田市歴史研究所の紀要『年報』2号がこのほど出版された。
 飯田市は1996年から取り組んできた飯田市誌編さん事業を見直すかたちで2003年12月2日に同研究所を設立、市誌の刊行にとらわれず、飯田下伊那の歴史資料を収集・記録・保存・公開する恒久的な文化事業として同研究所を位置づけた。以降、飯田市歴史研究所市民を対象にした学術講座のアカデミアや郷土の歴史資料を読むゼミナール、また本紙にも講座「伊那谷の歴史」を連載するなどの活動を展開している。
 『年報』2号は、昨年秋開催された第一回研究集会での中村政則さん(一橋大学名誉教授)の講演録、研究報告5本、論文2本を中心に、フィールドワークの報告5本、聞き書きによる口述史料が収載された。また研究活動助成成果概要として研究費等の助成を受けた研究の報告がなされ、歴史研究所と新しいスタッフの活動が概観できる構成になっている。「森本家の手作経営と農業技術」「両大戦間期下伊那地方の人口構成」「飯田藩における酒造人と酒造仲間」「明治初期筑摩県における「小校」設置と近代学校への移行ー飯田市域の事例」「清内路長田屋(小池家)文書調査記録の経過と概要」など、いよいよ動き出した歴史研究所の姿がうかがえる。また口述記録では、前回の松澤太郎元飯田市長の市長選をめぐる聞き書きも衝撃的だったが、今回は飯田市下久堅の農業三石りゑさん(74歳)が対象。三石家は江戸時代に建てた母家に住み、農家に伝わる年中行事を継承している家として知られるが、21歳で三石家に嫁ぎ、「過重な農作業のため腰が「く」の字に曲がってしまったりゑさんに日本の農婦の縮図をみる思い」と採録者が語る口述記録は、採録中にご主人が亡くなり、また三石家が酪農をやめるなどの出来事がリアルタイムで記録されることになった。この他、年報への投稿規定や、研究所の活動や目的また地域の歴史資料の掘り起こしの方法や課題を知る意味でも、郷土史に関心のある人には必携の一冊。
 『年報』2号はB5判232頁、定価1300円。装幀はブックデザイナーの第一人者菊地信義さんによるもの。800部刊行された。お求め、お問い合わせは、飯田市歴史研究所、南信州新聞社、または飯田市内書店まで。(嶋)