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信州 伊那谷 四季暦』 最新刊

 A4判変形136ページオールカラー 定価2300円(税込み)

岩崎 愈 著 南信州新聞社出版局刊行

谷の歴史との交感

 八十二銀行のロビー写真展で「スイスの夏」「黄龍・九寨溝」「エベレスト街道」「南信州の桜」などの多彩な作品を発表している飯田市丸山町の岩崎愈さん(まさる・68歳)がこのほど伊那谷の四季をテーマにした写真集『信州伊那谷四季暦』を発刊し、話題になっている。

 岩崎さんは、新星グループの総帥として、かつまた地域の防犯活動を進めるNPO飯伊学生防犯対策支援協会理事長として知られているが、飯田山岳会時代の20歳代から自宅の押入に暗室をつくり、自身で写真を焼いて楽しむ程の写真好きだった。しかし、実業が多忙を極めていたので、写真を先生について本格的に教わったこともないという。

 ヒマラヤ・アラスカ・中国奥地などの海外旅行の写真展を開くなどして楽しんでいたが、数年前、南信州の山奥の分校を訪ね歩いた井原留吉さんの記録写真集『谷の賦』に強い衝撃を受け、谷の奥深さを再認識した。自分自身につながる伊那谷の歴史を、祭りや風物を通して切りとる岩崎さんの写真のスタンスがこうして決まってきた。作品には、シャッターを切るときの、胸中を去来する思い・風景の奥底に息づく谷の歴史との交感が、岩崎さんのつぶやきのように添えられている。嘘のように美しい風景や、穿(うが)ったアングル、どぎつい技巧が多いプロの写真集の中にあって、実にシンプルな作品が多い。伊那谷はこうして撮られた方が、なにかホッとする。是非、一度手にして見て欲しい。
 本書はA4判変形上製本、136頁、オールカラーで、定価2300円(税込み)。平安堂各店、松沢カメラおよび南信州新聞社で扱っている。(嶋)