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天国へ行けば楽になるの?』 最新刊

 B5判上製本144ページ 定価1500円(税込み)

武井健介・美千代 著 南信州新聞社出版局刊行

ひとりで悩まないで!

『天国に行けば楽になれるの?』が問いかけるもの

 2007年10月14日、繊細で傷つきやすい魂がこの世に疲れ果て26歳の若さで自ら命を絶った。口唇裂の奇形を持って生まれた長男は何度かの手術を繰り返すが術痕が残り、小学校のときから心ないイジメに合うようになった。特攻服を着た生徒が屯するような荒れた中学校ではイジメの対象となり、自立を促す家庭との狭間で、とうとう不登校になる。
 思春期、高校に進むようになると将来に対する不安と向き合うようになる。カウンセラーの治療を受けながら、必死で自身の生きる道を模索する息子を、建設関係の会社に勤める父と看護師の母はただただ見守るしかなかった。そして、突然、息子の自死という現実を突きつけられる。
 母は残された息子の手記をたよりに、息子の生を丹念に辿った。誕生のとき、楽しかった幼稚園時代、イジメの始まった小学校時代、傷ついた魂をわかってやれなかった中学・高校時代、生きる術を求めて苦闘する専門学校から社会人時代と、自分たちを責めることばかりが思い出される。しかし、それを救ったのが息子の書き残した両親を思いやる言葉であった。
 息子の死が両親を変えた。息子の生の軌跡を伝えることで、イジメによって息子が味わったような辛酸(しんさん)を舐(な)める人をひとりでもなくしたい。残された自分たちの悲しみを伝えることで、イジメを理解できなかった大人にイジメを考える契機にしてもらいたい、と息子と約束した手記の出版に踏み切った。
 本書『天国に行けば楽になれるの?』は、母武井美千代さんが、息子健介君の残した手記と対話するような形で書きつづった本である。持ち込まれた原稿を編集しながら筆者も涙が流れるのを止めることができなかった。格差が進む社会でイジメはなくならないかもしれないとは思う。けれどもイジメに気づき、身の回りから少しずつイジメの種を摘み取っていこうという気持ちにさせられる。イジメに合っている子どもやその親、周囲の人に是非読んでほしい1冊。
 本書は四六判上製本144ページ。信州内観研究所のカウンセラー中野節子さんが前書きを寄せている。定価1500円。お求めは平安堂各店及び書店まで。(嶋)